「貸せる」と「売れる」と中心部までの距離
先だって、家探しの基準3点セットというお話をさせて頂きました。
「貸せる」「売れる」「自分好み」の3点ですが、今回はこのうち「貸せる」と「売れる」について少し補足をしたいと思います。
以前、これら2つの視点について、
「いずれもの分析結果が優秀になることは稀」
「いずれもが優秀であることに固執しない方が良い」と申し上げました。
これにはきちんとした理由があります。
特に「どちらかは優秀でも、もう一方はそうではない」というパターン。
この結果がチグハグになるパターンですが、立地によっては「当然」といえる場合があり、この視点だけではすべての不動産の優秀さを導き出すことができません。
具体例も交えながらご説明していきたいと思います。
まずチグハグなパターンを細分化しますと、下記の2パターンが考えられます。
「家賃は高めにできても、売ると意外に安い」=貸すと高い・売ると安い
「購入時の価格が高い割に、賃料が取れない」=貸すと安い・売ると高い
まず、前者の「貸すと高い・売ると安い」ケースですが、中心部に近いが住みたい街としての人気度が高くないエリアで起きやすいです。
「治安」や「環境」に不安がある地域や、中心部から近いものの駅の規模が小さく商業施設が少ない各駅停車駅等で良く見受けられます。
次に後者の「貸すと安い・売ると高い」ケース。
こちらは、中心部からの距離は遠いものの、街そのものは人気でブランド力が強いエリアに多いです。
某「住みたい街」のランキング上位に常に名前が挙がってくる街がわかりやすいでしょうか。
なぜこのようなことが起きるのか、理由は以前にも少し触れたのですが、賃料と売却価格の相場は動き方が違うことに起因します。
一概には言えませんが、賃料は中心部に近ければ近いほど高くなりやすいです。
対して、売買価格は中心部から遠くとも住宅地として格の高い高級住宅街であれば高くなります。
賃料は「利便性」に対する比重が大きいのに対し、売買価格は「利便性」以外の「治安」や「環境」など、他の要素にも重きを置いているためにこういった差が起きています。
皆さんも中心部の便利な駅で「借りる分には便利だからいいけど買うにはちょっと・・・」と思う駅や、「独身時代に借りるにはちょっと不便だけど、子育てには良さそう」と思う駅というと思い浮かぶエリアがないでしょうか。
こういったケースが実際にたくさんありますので、「貸せる」と「売れる」の両立ができなくても優秀な不動産は数多く存在しています。
皆様も「貸せる」「売れる」の分析結果がチグハグであったとしても、気落ちせず地域特性も踏まえご検討頂けますと幸いです。