ホームインスペクション
以前は中々聞く機会がなかった「ホームインスペクション」ですが、宅建業法の改正もあり、最近は少しずつ事例が増えてきています。
まだ普及には時間を要しそうですが、今後中古物件の取り引きが活性化していく中では、皆様も実施を検討される機会があるかと思いますので、少しご説明しておきたいと思います。
そもそも「ホームインスペクション」とは住宅診断のことで、住宅の専門家である建築士等が、建物の劣化状況の調査を行い、欠陥や故障等についてを客観的に診断するという制度です。
目視等による簡易診断であれば数万円から依頼可能な場合もありますが、より専門的な機材等を要する高度な診断となるとその費用はとても大きなものとなります。
これから事業者が増えていけば、もっと身近なものになっていく可能性もありますが、残念ながら現時点ではまだまだ手軽とは言えない状況です。
また、普及が進んでいない理由としては、価格以外の要素も考えられます。
まず、法改正以前は制度自体をご存知無い方が多かったことが挙げられます。
そして、それ以上に普及が進んでこなかった背景には、「実施したことで不具合が見つかると売却に不利になる」「知ってしまったら告知義務が生じるので曖昧にしておきたい」といった売主様側の意向があったのではないかと考えられています。
実際に多くの不動産仲介会社は、売りにくくなるリスクを恐れ、積極的には検査を促してきませんでした。
「藪蛇」を恐れたのです。
しかし、法改正により「インスペクション制度に関する説明をすること」が義務付けられるようになりましたので、今後は増えていくであろうと思います。
ただ、この法改正もあくまで「確認・説明」を義務付けるもので、実施するか否かは任意です。
あくまで「売主様、この物件はインスペクション済ですか?」と聞き、「済」であれば結果の共有をする。
「未実施」なのであれば「買主様、インスペクションはしたいですか?(基本的には有償)」と聞けば義務を果たしたことになります。
また、売主様の許可なしでは実施ができないため、最終的には決断が売主様に委ねられている状況になっています。
検査結果に連動した保険商品等も登場していますので、購入検討者としてはできれば活用していきたい制度ですが、売主様側の意識改革が進まなければ容易には実施ができないのが歯がゆいところです。
もし、インスペクションをご希望される場合、私どもも鋭意交渉にあたらせていただきますが、なるべく早い段階から売主様に意向をお伝えしたほうが、ご承諾いただける可能性が高まりますので、できましたらお早めにご相談頂けますと幸いです。